情報社会でも、深い人になるのに大切なのは読書でした!
ご訪問頂きありがとうございます。
今回は齋藤孝さんの「読書する人だけがたどり着ける場所」の紹介させていただきます。
下記が本日紹介する内容です。
紹介内容
1 ネットで文章を読むことと、本を読むことの違い
2 なぜ、いま本を読むのか
3 読書する人がたどり着ける深さ
4 深くなる読書、浅くなる読書
5 思考力、知識、人格、人生を深める本の読み方
1 ネットで文章を読むことと、本を読むことの違い
読書をしていないと言っても、文字を読んでいないわけではありません。むしろインターネットやSNSなどを通じ、文字を大量に読んでいます。
毎日膨大な量の情報が追加されているネット上には、最近のニュースだけでなく、古今東西のあらゆる物語や解釈や反応が含まれています。ネットでは「青空文庫」など、著作権の切れた作品を無料で読むことが可能です。
しかし、ネットで読むことと読書には、重大な違いがあります。
皆さんは、何だと思いますか?
答えは向き合い方です。
ネットで何か読もうとするとき、そこにあるコンテンツにじっくり向き合うというより、短期間で次へ行こうとします。ネット上には大量の情報がとともに気になるキャッチコピーや画像があふれています。
そのため、ますます一つのコンテンツと向き合う時間は短くなるのです。また、現代人の集中力が低下しているという研究がマイクロソフトによって出ています。これはインターネットの影響が大きく、スマートフォンが普及したことにより、いろいろな情報にアクセスできるようになったことが原因として挙げられます。
2 なぜ、いま本を読むのか
・ 情報社会と言われながら、有益な情報に接していない私たち
現代は情報化社会と言われており、あたかも私たちは大量の情報に触れているかのようになっています。確かにインターネット上の情報の量はすごいです。しかし、表面だけさーと読み、キーワードだけを拾っており、詳しいところまで読んでいません。
・ 専門バカになってはいけない
近年リベラルアーツが重要視されるようなになっています。グローバル化が進み社会問題が複雑化されるなかで、問題解決には専門的分野を超えた柔軟性が必要だと強く認識されています。専門分野の知識が豊富にあっても、その知識をいかすうえでは多角的な視点がなければ難しい。
そのため、ますます教養が必要になってきます。この教養が必要な時代に本を
読んでいないとおかしいことななってしまします。
・ 人類の未来のために
私たち人類のすごいところは、知を多くの人と共有し、後世にも伝えていけるところです。読書は人間に生まれてきたからこそ、味わえる喜びであり、自分で自分の人生を深めていける最高のものです。情報化社会だからこそ、あらためて本と向き合うことが大切です。
本を読む理由
・ 浅い情報ではなく、本で深い知識を得る
・ 教養を身に付ける
・ 人類ならではの、自分を深めていけるものだから
3 読書する人がたどり着ける深さ
・ 深い人、浅い人の違い
浅い人・深い人の違いはどこからきているのか?
答えは教養です。
教養とは、豆知識や雑学のことではなく、自分の中に取り込んで統合し、血肉となるような幅広い知識のことを指します。
カギとなるのが、物事の本質を捉えて理解することです。バラバラとした知識がたくさんあっても、それを使いこなすことが出来なければ意味がない。単なる物知りでは、深い人にはなれないのです。教養や人格が人生にまで生きている人が、深い人といわれるのです。
そして深い人になるのに、読書ほど適したものはありません。本を読むことで知識を深め、思考を深め、人格を深めることができます。
深い人の例として、西郷隆盛が挙げられます。西郷が生きた幕末・明治時代から人格者として慕われており、物凄い人望がありました。亡くなってからも多くの人間が西郷の研究を行うなど、時代ごとに評価されてきました。
そんな西郷は生まれた時から人格者で「深い人」だったのでしょうか?そういうわけではないでしょう。西郷は多くの本を読んでいました。特に影響を受けたのは儒学者佐藤一斉の「敬天愛人」だったそうです。流された島でもこれを熟読したそうです。
西郷は常に本を読み、自らを培っていたのです。
・ コミュニケーション能力は文字で磨かれる
コミュニケーション能力の根底には認識力があります。相手の状況や感情、言動を認識する。言動それぞれに、その場の文脈というものがあります。
「期待しているよ」という言葉には、「信頼してるよ頑張ってね」という意味の時もあれば「これがラストチャンスだぞ」という意味のこともあるかもしれません。
人の複雑な感情を瞬時に理解するのも認識力です。嬉しい、悔しい、悲しいと単純に言えない、表現しにくい感情。
文学にはそういった複雑な感情が描かれています。文学を読むことで、複雑な感情を読み取ったり言語化したりする能力を身に付けることができます。
こうした、複雑な感情を消化したり、感じ取ったりすることができれば、より深いコミュニケーションにつながるでしょう。
・ 知性は万人に開かれている
・ 「知性」
一般的に「知的」とは、知識は豊富で、言語的認識力が高い人のことを言います。認識力の高い人はより多く、より深く情報を捉え、理解することができます。
・ 「センス」
一方でセンスのある人もいます。知識とは無関係に感覚的に出来てしまう人のことです。とくにきちんと教わったわけではないが、感覚的に出来てしまう。
ここでのポイントは知性は万人に開かれているということです。
言語は多くの人に開かれているので、センスをあまり要求されません。誰でも、知識を増やし、深めるなかで知的になることができます。
読書の楽しみは、その本のワールドをじっくり楽しめることです。深い世界に触れて、それを楽しむ心が重要なのです。そういう心がないと、それだけの時間を読書に割くことは難しいでしょう。
4 深くなる読書、浅くなる読書
・ 「著者の目」で物事を見てみる
円盤を上からみたら丸に見え、横からみたら三角に見えるように、視点が変われば見え方も変わります。コミュニケーションにおいても「相手の立場に立つ」「相手の視点で見る」とはよく言われることです。
しかし、概念としては分かっているつもりでも、自分に視点から抜け出すのは難しいこと。
そんな時に役に立つアイテムがあります。それはなんでしょうか?本作にタイトルからして、もうあなたは答えが分かっているかもしれません
答えは読書です
読書は自分とは、異なる視点を手に入れるのに役に立ちます。意識することは、「著者の目」になることです。自分と違う見方だなと感じていても、いったんは著者の目になったつもりで本を読む。
著者の目で回りを見てみる。そうすることを繰り返すと、視点が重層的で多角的になります。1点に凝り固まるのではなく、厚みや深み、広がりのある視点を持つことが出来るのです。
たとえば、日本に暮らしている人は外国人の価値観を理解するのが難しいことが往々にしてあります。歴史や文化的背景が全然違えば、価値観が異なるのは当然です。海外の文字、思想書や歴史書を読むと、人類に共通の普遍性を感じるとともに、異なる視点を感じることもできます。
・ 「著者月間」を作ろう
では、読書でこのような深みをもつには、どのような読み方をすれば良いか?
「広く浅く」という言い方をしますが、一番良いのは「広く深く」です。「広く」と「深く」は両立します。というよりも、ある程度広さがないと深みに到達するのは難しいです。
「深さの要素には」つながりがあるからです。あることについて深く知っているとして、その知識はそれだけでは「点」です。でも、一見関係ないような別の事柄について深く知ったとき、それぞれの点がつながることがあります。
そうすると、まったく新しい事柄もさらに深堀できるようになって行きます。一つのことを深く知ろうとする中でも、興味が自然と枝分かれしていくので、勝手に広くなってしまうという面もあるでしょう。教養のあるひとは「広く深く」を行っています。
また、特定の著者のことが好きで、その人の本は深く読んでいるけれど、他の著者のことは全然知らない、というのではやはりどうしても浅くなってしまいます。間口で狭い分深まりません。
好きな著者のワールドにつかり、作品を読み続けるのはとても楽しいのですが、それだけで終わってしまうともったいないです。
ですので、今月一人の著者にはまったら、翌月は別に著者にはまる。さらに次の月は別の著者というように、時期をずらして広げていくことが良いでしょう。
・ 一冊の本から、連綿と続く「精神文化」につながる
人間にとって最も重要なのは精神文化だと齋藤はおっしゃっています。社会に共有されている精神といものがあります。それが精神文化です。たとえば、インドの大多数の人々にとって、ヒンズー教の精神文化が共有されています。一人ひとり固有の心が大切なのは言うもまでもありませんが、個人の心だけに囚われていたら、見失うものがあります。
私たちはひとりで生きているのではなく、連綿と続く文化の中で生きています。普段はなかなか意識しないかもしれないですが、根底にある精神文化を掘り起こし、感じることで強くなれます。文化を共有している人たちとのつながりを感じられるのです。
精神文化は読書によって掘り起こすが出来ます。哲学や思想書はもちろん、文学も適しています。文豪たちはたくさんの本を読んでいます。太宰治や谷崎潤一郎の読書量は凄まじいです。大量の読書によって精神文化を背負い、それを文学の形に表しているのです。著者固有の視点というのはあるのですが、背景に精神文化が色濃く流れているのです。
5 思考力、知識、人格、人生を深める本の読み方
・思考力を深める本の読み方
・ 読書で思考力を磨く
思考を深める際に大切なのは、自分に引き付けて考えることです。文章を読んで「なるほど、そういう意味か」で終わらせるのではなく、「これは、自分の場合何にあたるのだろうか?」「自分だったらどうだろう」と考えます。
たとえば、星の王子さまを読んで、ストーリを理解しただけでは思考は深まらないかもしれません。しかし、王子さまが自分の星に残してきたバラとは、自分にとってなんだろう?と考えは始めることで、深まりが始まります。
作品に込められたメッセージを読み解くことが読解です。さらに読解を超え、もう一歩自分に引き付けて考えてみましょう。
本を読んでいて、はっとする部分があれば、自分の経験と照らし合わせてみましょう。きっと自分の体験となにかつながりが見えてくるはずです。
それを放置して読み進めてしまえば、どこではっとしたか、何故はっとしたのか忘れてしまいます。なので直接書き込むのでも、メモ帳でも何でも良いので、メモを取ることが良いでしょう。
・ 知識を深める本の読み方
・ 「つながり」を意識すれば知識取り出しやすくなる
本を読み知識を自分の物にするには、人に話すのが一番です。自分が発見したことのように臨場感を持って、感情をのせて語る。そうすることにより、知識はしっかり定着し、自在に使うことが出来るようになります。
知っていることが多くても、誰にも話さずに使うことがないというのでは、宝の持ち腐れです。
知識を使うには「文脈」が重要です。文脈に合わせて、様々な知識をとりだす。本の中にあったエピソードをひとまとまりにして、話せたりすると会話が盛り上がります。
自然な形で本の話題を出し、そこからまた次へつなげて行きます。このような取り出しがうまい人が「知識のある人」として評価されるのです。
知識を上手に取り出せるようになるには、「つながり」を意識して本を読むのが良いでしょう。また、読んでいる本同士のつながりもあります。ゲーテを尊敬していて、影響を受けたというニーチェからは、ゲーテとのつながりが感じられます。
こういったつながりを意識しながら読んでいると、文脈に合わせて知識を取り出すのが上手くなるはずです。
・ 人格を深める本の読み方
・ 自分だけの名言を見つける
言葉にはパワーがあります。だから、本読んでぐっときた言葉を自分だけの名言としてとっておきましょう。「マイ名言」は人生の様々なところで役に立ちます。そんな「マイ名言」を見つけるつもりで、本を読んでみるのも良いでしょう。
・ 人生を深める本の読み方
・ 一度きりの人生をどう豊にするか
人生は一度きりであり、当然ながら他の人の人生を生きることはできません。自分ひとりの経験には限度があります。
経験が少ないほど、「想像の及ばない」物事が多くなるもの。自分と環境がまったく違う他人の気持ちを想像するのも難しくなります。しかし、本を通じて他人の人生をつい体験出来ることはあります。別の時代を生きた人、他の国を生きた人の人生も、臨場感を持って知ることが、出来るです。
人が人と関わりながら生きていくうえでは、他人の気持ちを理解して認め、受け入れることが必要とされます。それにより、自分自身が成長し、人生を豊かにしていけるのです。
人生を自分だけで、豊かに感じるのは実は難しいことです。自分が今ここに存在するのは、これまでの歴史の中でさまざまな人が生きてきたからです。そんな、さまざまな人生を知って、「人生そのものの豊かさ」を感じられるようになるはずです。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。